医院・病院が融資を受けるにはまず制度を知ることから
病院を開業する時や設備投資を検討する時は資金調達に苦労しますよね。
またそれ以外にも日常の病院経営の時も資金が必要になることは多々あるのではないでしょうか?
資金が必要な時に真っ先に検討するのは銀行からの融資。
しかし病院の資金調達方法は、銀行融資以外にも様々な制度があります。
そこで今回は病院の資金調達の方法を5つ紹介します。
銀行融資のメリット、デメリットについても詳しく説明していきますので参考にしていただければ幸いです。
病院が開業融資で資金調達するなら利用したい3つの制度
まずは銀行融資以外の病院の開業資金の調達方法について3つ紹介します。
目次
独立法人福祉医療機構
独立法人福祉医療機構とは、医療機関などに貸し付け事業を行っている国の機関です。
長期間、固定金利、低金利での借り入れを行うことができます。
融資の詳しい条件は以下の通り。
・融資金額:最大5億円
・返済期間:最大20年
・金利:0.9%程度
・担保、保証人:必要。(保証人については、金利に一定の上乗せをすれば免除可能)
民間の銀行に比べると条件はかなり良いですね。
しかも、診療所が少ない地域での開業については更に条件が良くなります。
日本政策金融公庫
病院の開業ではよく利用されている方法です。
銀行融資以外の公的融資の中では最も利用が多い方法になります。
日本政策金融公庫の条件は以下の通りです。
・融資金額:最大7,200万円
・返済期間:最大20年
・金利:2.0~3.9%
・担保・保証人:不要(ただし、金額は3,000万円まで。基準金利に1.2%程度上乗せられる)
金利は少し高めですが、審査はあまくでて保証人や担保も必要ないことから利用者は多いです。
審査結果も2週間程度で出るのも特徴です。
医師会提携融資
各医師会が行っている融資方法です。
医師のための融資期間ですので条件は良いはずですが、医師会によって差があるのでまずは問い合わせすることをおすすめします。
ここまで制度融資についてまとめてきました。
次の章では、銀行融資のメリット、デメリットについてまとめていきましょう。
銀行融資は担保が必要?メリットとデメリット
前の章で、制度融資について説明していきました。
この章では、誰も知っている融資制度である銀行融資のメリット、デメリットについてまとめていきます。
銀行融資ですが、都市銀行(メガバンク)と地方銀行で大きく違いがあります。
メガバンクは新規の病院・医院開業には積極的ではなく、既存の病院・医院の開業には積極的な傾向があります。
一方地方銀行は、新規先にも優良な条件で貸し付けを行う銀行も多いのが特徴です。
以下ではそんな銀行融資のメリットから説明します。銀行融資のメリットは3つあります。
1、低い金利での借り入れが可能
貸し手がいない中、何が何でも借りて欲しい銀行が多いのは事実です。
つまり銀行側としては有望な病院や医院にお金を貸したいので金利もその分低くなる可能性があります。
銀行で融資を受ける大きなメリットは金利が低くなる可能性があることです。
2、信用力が増す
銀行融資の審査は一般的には時間がかかるものと考えられていますが、返済していれば次に資金調達したいときに信用力があるので借りやすいです。
返済をしっかり行っていくことにより信用力が上がっていくことは銀行融資での大きなメリットになります。
3、審査の時間が制度融資よりも短い
制度融資は、一般的には審査の時間がかかったり提出書類が多いです。
銀行での融資も時間がかかりますが。制度融資よりは短い場合が多いです。
また提出書類も制度融資に比べて少ないことが多いのも銀行融資の大きなメリットです。
銀行融資のメリットについてまとめました。
銀行融資にメリットは多いですが、当然ですがデメリットもあります。
銀行融資の主なデメリットは以下の二つです。
1、即日の融資には対応出来ない
銀行の融資は、最近はAIの台頭などで大分早くはなってきていますが、それでも即日の融資には対応が出来ません。
病院や医院の経営を行っていると急遽資金調達が必要なこともありますが即日の資金調達に銀行は対応出来ないことはデメリットになります。
2、借りたいときに借りられない恐れがある
銀行融資の2つ目の欠点は借りたいときに借りられない可能性があることです。
経営状態が悪いとどうしても銀行は一歩も二歩も引いてしまいます。
また借り入れが出来たとしても金利が高くなってしまう可能性もあります。
借りたいときに借り入れが出来ないことは銀行融資の大きなデメリットになります。
この章では、銀行融資のメリット、デメリットについてまとめていきました。
銀行融資はメリットも多いですが即日の融資に対応出来ないなどのデメリットもあります。
資金をすぐに調達したいときはどのようにすればいいのでしょうか?
次の章では、すぐに資金を調達できる方法について説明していきます。
資金繰りの改善なら返済不要のファクタリング
今まで、制度融資や銀行融資のメリット、デメリットについて説明していきました。
ここまで紹介した制度融資と銀行融資の大きなデメリットは審査に時間がかかることですよね。
医療経営を行っていると、急に資金が必要な時があると思います。
急な資金需要に対応できる方法として、この章ではファクタリングについて説明します。
ファクタリングとは
ファクタリングとは、売掛金を利用して、売掛金の満期前に資金を調達する方法です。
ファクタリングの仕組みは、ファクタリングを利用する会社・ファクタリング会社・取引先の3社が登場します。
ファクタリング利用会社は、取引先の売掛金を、ファクタリング会社に譲渡します。
ファクタリング会社は、資金をファクタリング利用会社に支払います。
売掛金の満期が来たら、ファクタリング会社は取引先より売掛金の回収を行うといった仕組みになっています。
医療機関が行うファクタリングを特に医療ファクタリングといいます。
医療ファクタリングで使う売掛金は、診療報酬債権になります。
以下では診療報酬ファクタリングの仕組みをより詳しく説明しています。
https://kimfielding.org/wp/medicalfactoring-credit/
医療ファクタリングのメリット
医療ファクタリングのメリットは、3つあります。
一番のメリットは資金を比較的すぐに調達することができること。
医療ファクタリングのメリットについて説明していきます。
1、資金をすぐに調達できる
医療ファクタリングは、診療報酬債権を使って資金調達する方法です。
ファクタリングの審査で重要なのは、取引先(売掛先)の信用。
医療ファクタリングの取引先(売掛先)は国保や社保になります。
国保や社保は国の機関になるので当然、審査は通ります。
よって医療ファクタリングは資金をすぐに調達することが出来るのです。
2、審査が緩いこと
先程の資金をすぐに調達出来ることと若干重複しますが、医療ファクタリングの審査は非常に緩いです。
制度融資や銀行融資を使った場合、融資は当然厳しくなりますが、医療ファクタリングの審査対象は国保や社保です。
国への審査なので当然審査は緩くなるのです。
3、返済の必要がないこと
ファクタリングは融資ではありません。
融資は当然返済しないといけませんが、ファクタリングは診療報酬債権を譲渡しているので返済の必要はありません。
借り入れではないので貸借対照表に載せる必要もないので財務諸表に記載することもありません。
今後銀行などで融資を受ける際に貸借対照表が軽いことは大きなメリットになるのではないでしょうか?
以上のようにメリットの多い医療ファクタリングですが、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
医療ファクタリングのデメリットについても簡単にまとめておきます。
医療ファクタリングのデメリット
ファクタリングの最大のデメリットは、取引先にファクタリングを行ったことを知られることです。
自分の会社の売掛金がファクタリングに使われることに不信感を持つ会社は多いのです。
またファクタリングを行うということは資金繰りが厳しいのかと勘繰られることになり、取引の縮小や最悪の場合取引の停止になってしまうこともあります。
これがファクタリング最大のデメリットになります。
しかし医療ファクタリングの場合は、取引先が国になるので何も心配することはありません。
国が取引を停止することはないからです。
診療報酬ファクタリングは、ファクタリングの最大の心配事がないのです。
医療ファクタリングのそのほかのデメリットは手数料がかかるくらいなので資金調達を早くしたい場合にはメリットの大きい取引になるのです。
診療報酬ファクタリングのデメリットまとめ
まとめ
今回は、制度融資や銀行融資、医療ファクタリングについてまとめていきました。
それぞれメリットもデメリットもあります。
それぞれの資金調達の方法をよく理解して最適な資金調達方法を選択していきましょう。